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●食品への放射線照射(食品照射)とは

「食品照射」とは
食品への放射線照射は殺菌、殺虫、発芽防止などを目的に、コバルト60やセシウム137などの放射性物質から出るγ(ガンマ)線や、電子加速装置から出る電子線を食品に当てることで、「食品照射」とも呼ばれます。

放射線には、生物のDNA(遺伝子の本体)を傷つける作用があります。食品照射は、この作用を利用し、食べ物を殺菌したり野菜などの発芽能力を失わせたりすることです。

食料産業の分野において、農作物などへの放射線照射の実用化研究が始まったのは、ソ連(当時)が1958年にじゃがいもの発芽防止に放射線を利用したのが最初といわれています。じゃがいもや玉ねぎなどの発芽組織の細胞は放射線の影響を受けやすく、発芽を防止することができます。

日本ではじゃがいも、そして不正輸入
日本では、旧厚生省が食品衛生法に基づく告示(1959年)で食品照射を原則禁止しました。72年に例外として、発芽防止のためじゃがいもへの照射を認可しました。74年、北海道の士幌町農協がじゃがいもへの照射・出荷を始めました。現在、日本で流通しているのは士幌町農協の年間約8000トンだけとされています。

放射線照射施設
士幌町農協の放射線照射施設
(写真:バイオ応用技術研究ユニット より)
食品衛生法に基づく表示基準で、照射じゃがいもには、照射された旨の表示が必要となっており、出荷の際には表示されていますが、店頭では必ずしも表示されておらず、消費者が見分けるのは困難となっています。

放射線を照射された食品とそうでない食品とは見分けがつかないので、違法に輸入され流通するケースもあるようです。01年に不正輸入事件が発覚し、厚生労働省が過去5年間(96~01年)について調査したところ、放射線を照射された食品を日本に輸入しようとして検疫で見つかった事例が10件ありました。中国からの朝鮮にんじんドリンクや、カナダからの粉末サメ軟骨、花粉をつぶした米国の加工食品など計約7トンで、輸入届に「放射線殺菌」の記載があったので発覚しました。しかし、照射済み食品を検知する有効な方法がないので、記載がなければそのまま流通してしまいます。

また、78年9月には、ある食品会社が大手16社のベビーフードの原料に用いる粉末野菜に放射線殺菌を行っていた事件が報道されました。

放射線照射の「利点」
食品照射には、次のような利点があるとされています。

  • 透過力が強いので、包装した製品に照射しても、殺菌、殺虫の効果がある。
  • 照射による温度上昇は一般に2℃前後なので、冷凍食品の殺菌も可能。
  • 栄養素の損失については、加熱の場合と同様に一部のビタミンが影響を受ける程度ですむ。
  • 短い時間で多量の食品に照射できる。
  • 放射線は最終的には熱に変わって消失し、残留しない。
  • 国連食料農業機関(FAO)の試算では、世界の食糧生産の約4分の1が収穫後に害虫やバクテリアなどによってだめになっているが、食品照射で食料損耗の低減できる。


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