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●危険は中国産に限らず

輸入農産物の違反発覚が急増
◆ポジティブリスト制度とは
2002年に中国産の野菜から規準を超える残留農薬が相次いで検出されたのをきっかけに、日本は06年5月、残留農薬規制を強化するため、「使用してもよい(ポジティブ)農薬」を一覧にし、それ以外を原則認めない「ポジティブリスト」方式を導入しました。従来、国内では約300種類の農薬や動物医薬品などについて残留基準がありましたが、導入後は約800種類に広がりました。基準値は原則として0・01ppm(1キロ当たり0・01ミリグラム)で、科学的な評価データがあるものは別の基準値を設定しています。

◆導入1年で違反急増
ポジティブリストを導入した06年5月以降、検査で違反とされた輸入食品が急増しました。新制度では、主要国で残留基準が決まっていない農薬も0・01ppmを上回れば違反とされるからで、従来はチェックされなかった農薬や添加物が海外で広く使われている実態が判明しました。

厚生労働省の統計によると、06年6月から07年5月までの間、輸入食品の検査で、残留農薬検出による食品衛生法違反で廃棄などの措置が取られたのは761件で、前年同期の91件から670件増えました。日本で未使用の農薬のほか、冷凍の魚介類からかび取り効果がある動物用医薬品が検出されたケースもありました。

違反を出した生産国は26カ国・地域に上り、件数は、中国が250件で最多。ベトナム(143件)▽エクアドル(93件)▽ガーナ(77件)▽台湾(47件)――が続きました。

主な違反食品は、養殖ウナギ(中国産、台湾産)▽ウーロン茶(同)▽乾燥きくらげ(中国産)▽しょうが(同)▽ニンニク茎(同)▽落花生(同)▽乾燥イカ(ベトナム産)▽マンゴー(台湾産)▽カカオ豆(エクアドル産、ガーナ産)――などでした。

中国産に限らず
06年の「輸入食品違反発生状況」(厚生労働省発表)によると、残留農薬基準の違反件数のトップは中国(530件)で、米国(239件)▽ベトナム(147件)▽タイ(120件)▽エクアドル(69件)▽ガーナ(62件)▽台湾(50件)――が続きます。

中国産の違反が目立つのは違反内容のひどさもありますが、輸入件数が飛び抜けて多く、検査対象件数が多いのも要因です。06年に中国産は約9万1200件の食品が検査されましたが、ガーナ、エクアドル、パラグアイは60~340件程度です。従って、「違反率」という観点でみると、他の国の農産物も中国産と同様、問題が大きいと言えます。

「国産品よお前もか…」
国産品にも違反が時々発覚しています。

◆無登録の劇薬使用相次ぐ
山形県警は2002年7月と8月、無登録農薬を販売していた農薬販売業者ら4人を農薬取締法違反容疑などで逮捕しました。その後、無登録農薬の「ダイホルタン」「プリクトラン」「ナフサク」の使用が全国28県で確認されました。品種はなし、すいか、いちご、みかん、柿、大和芋など多岐に渡り、販売業者は30都県の80業者(農水省調べ)に上りました。

使われた農薬の性質は次の通りです。
ダイホルタン 発がん性。マウスを用いた実験で高い死亡率が確認され、89年に無登録。
プリクトラン 発がん性。毒劇物取締法で劇物に指定。ウサギを使った実験で水頭症が発症し、87年に無登録。
ナフサク 植物成長調整剤。安全性を確認するデータがなく、76年に無登録。
これらの農薬が使われた理由の一つは「登録農薬に比べて価格が安い」ということもありました。また、ダイホルタンを使用したりんごが「低農薬」と称して直販されたり、ジュースの原料になっていた事例もありました。

◆かぼちゃから30年前禁止の殺虫剤
2006年8月、北海道函館市から出荷されたかぼちゃから残留基準を超える有機塩素系殺虫剤の農薬「ヘプタクロル」が検出され、波紋が広がりました。30年前に製造・販売が禁止された農薬ですが、保健所の検査で基準値(0・03ppm)を上回る0・07ppmが検出されました。土壌に残ったヘプタクロルがかぼちゃに浸透したとみられます。

◆いちごから基準の9倍の残留農薬
07年1月15日に新潟に出荷された栃木県特産のいちご「とちおとめ」から、殺虫剤に含まれるホスチアゼートが基準値の8・8倍に当たる0・44ppm検出されました。市場に出荷された8380パックはすでに消費者に出回っており、新潟、盛岡、東京、横浜各市場に出荷した約56万パックも回収困難でした。
(2007年2月2日・毎日新聞より)

国内産りんご
国産りんごからも基準値以上の農薬が検出されることがある
◆りんごに殺虫剤残留
JA全農長野(長野市)は、長野県高山村のJA須高が出荷したりんご「サンふじ」から、食品衛生法の残留農薬基準を22倍上回る殺虫剤が検出されたと発表しました。
(2008年1月19日・毎日新聞より)


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