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●食品照射の動向

食品照射の動向
海外では、スパイスを含めてさまざまな食品に照射を認めています。

FAO(国連食糧農業機関)とWHOで組織する国際食品規格委員会は83年、「10キログレイ以下の照射なら毒性学的な危険性はない」と結論づけ、03年には「必要に応じて10キログレイ以上も認める」との判断を示しました。

こうして、食品照射は80年代以降、米、英、中、カナダなど約50カ国で、香辛料を中心にタマネギ、コメ、ハム、ソーセージ、冷凍肉、冷凍エビなどで許可され、約30カ国で実用化(IAEA=国際原子力機関調べ)されています。

ただし、欧州連合(EU)の食品科学委員会は03年に「全食品で安全だというにはデータが不十分」とWHOの見解を批判しました。このため、欧州各国は許可する食品や放射線量を独自に定めています。

利用方法
野菜の発芽防止や殺虫、殺菌、果実の熟度抑制などが可能とされ、既に次のような食品で実用化されています。
  • じゃがいも、さつまいも、玉ねぎ、ニンニクなどの発芽防止
  • バナナ、マンゴー、パパイヤなど熱帯または亜熱帯産果実の熟度抑制
  • いちごの貯蔵期間延長(照射と冷蔵の併用
  • 穀類や豆類、果実の害虫、肉などの寄生虫の殺虫(虫が死んだり不妊になる)
  • 鮮魚、食肉、鶏肉などの腐敗菌の殺菌による貯蔵期間延長
  • サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどの殺菌
  • 香辛料などに多いかびや耐熱性芽胞菌の殺菌

マンゴー
マンゴーなどの果物が熟するのを抑制するために放射線を照射する場合もある。
(※この写真と放射線照射とは関係ありません)

米国と中国で利用が多い
食品照射の処理量が多いのは中国と米国です。また、許可品目としては、香辛料が圧倒的に多くなっています。日本の食品安全委員会が04年に出した調査報告書によると、米国では、全食品に殺虫目的での照射を許可し、殺菌や成熟抑制などの目的でスパイス、生鮮食品、鶏、牛、豚肉、卵などにも許可しています。ただし、消費者による照射食品への警戒感は欧米でも強いので、実際の照射対象はスパイスが年6万トン強、冷凍牛ひき肉が1、2万トンにとどまっています。フランスでは、02年にスパイス約1300トン、鶏肉2800トン、カエルの脚900トンが照射されました。

食品照射施設の設置反対
ペンシルベニア州ミルフォード郡での食品照射施設の設置(03年)に反対する人々
(写真:Public Citizen より)

04年の日本の食品安全委の報告書などによると、食品照射の主な利用状況は次の通りです。

国・地域 許可している食品の例 目的
EU スパイスなど(各国が独自に許可) 病原菌制御、発芽防止など
米国 スパイス、肉、果実 病原菌制御、成熟抑制など
カナダ スパイス、じゃがいも、玉ねぎ、小麦 菌数の低減、発芽防止など
豪州 スパイス、マンゴー、パンの実 殺菌、発芽防止など
日本 じゃがいものみ 発芽防止のみ

日本の業者団体が認可を要望
2000年12月、スパイス業者28社で作る全日本スパイス協会は、こしょうやとうがらしなど94品目の香辛料への放射線照射を認めてほしいと、00年に厚労省に要望しました。「レストランや食材メーカーから、味や香りが保たれ、保存期間も長いスパイス(香辛料)がほしいとの要望が強い」との説明でした。94品目の中には、このほか、クレソン、しょうが、唐辛子、バジル、パセリ、みょうが、ニンニク、人参、ねぎ、わさびなど(その後93品目に)が含まれていました。

これを受けて06年10月、内閣府の原子力委員会食品照射専門部会は、香辛料への放射線照射を検討すべきとする報告書をまとめました。実際に照射が認められるまでには、食品衛生法などに基づき、厚生労働省が食品安全委員会の意見を聞いて、照射された食品の安全性を調べることが必要です。


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